前回は、ZEBデータベースの数値を条件で絞り込みながらグラフやヒートマップで確認できる「ZEBデータインタラクティブ分析」をご紹介しました。今回は、ZEBを実現した建物でどのような技術が採用され、外皮や設備の省エネ性能がどの水準にあるかを確認できる「ZEB技術の分析」を取り上げます。

何を元にしたツールか

このツールは、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が公開する「ZEBリーディング・オーナー一覧」をもとにしています。この一覧には、SIIに実績報告を行ったZEBリーディング・オーナーの建物が掲載されており、建物ごとに用途や規模、ZEBランクなどが公開されています。ZEB技術の分析は、このデータから新築・既存建築物・増改築のZEB認定棟(『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Ready・ZEB Oriented)を集計したダッシュボードで、2026年4月28日の更新時点で756件のデータを収録しています。

絞り込みと表示内容

絞り込みの条件は、地公体等/民間、延床面積(2千㎡未満・2千〜1万㎡・1万㎡以上)、ZEBランク(『ZEB』とNearly ZEBの上位ZEB、ZEB ReadyとZEB Orientedの下位ZEB)、工事種別(新築・増改築/既存建築物)、建物用途、省エネ地域区分です。条件を選ぶと、対象件数や平均BPI・平均BEIなどのKPI、断熱・空調・照明・再エネなどの技術カテゴリごとの採用率、グループ別のBPI・BEIの比較(平均値と箱ひげ図による分布)が切り替わります。技術採用率は、各技術カテゴリを採用している棟数を絞り込み後の総棟数で割った値で、棒をクリックすると内訳の技術を確認できます。

確認できる指標:BPIとBEI

主な指標は、外皮(外壁・窓など建物の外側)の性能を示す「BPI」と、建物全体の省エネ性能を示す「BEI」です。BPIは設計PAL*と基準PAL*の比で、ペリメータゾーン(外壁や窓に接する室の外周部分)の年間熱負荷を基準と比べたものです。BEIは基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の比で、空調の「BEI/AC」、照明の「BEI/L」など設備別にも確認できます。いずれも数値が小さいほど省エネ性能が高いことを意味します。これらは自社の建物だけでは得にくい、他建物との比較の物差しになります。

活用の仕方

設計者にとっては、これから設計しようとする建物と用途・規模が近い条件に絞り込んでBPI・BEIの水準を確認することで、自らの設計目標値がどの程度の位置にあるかを検討する材料になります。「外皮をどこまで強化すれば同規模のZEBに近づけるか」「空調・照明でどの程度の省エネ性能が実現されているか」といった検討の出発点として使えるほか、同じ条件のZEBでどの技術がよく採用されているかを技術採用率で確かめれば、設備構成を考える手がかりにもなります。建物オーナーへの説明では、同業種・同規模の他建物がすでに達成している水準を示すことで、目標設定の妥当性を説明する際の参考にもなります。

読むうえでの注意点

集計の対象は、SIIのZEBリーディング・オーナー一覧に掲載された事例であり、全国のZEB認証物件を網羅したものではありません。また、BPI・BEIの平均や分布は建物の規模・用途・地域・設備構成など多くの条件によって決まるため、そのまま自社の建物に当てはめられる基準値ではなく、あくまで検討の参考値として読むことが適切です。


想定読者:建物オーナー、自治体施設担当者、設計者

データのご利用について

本記事で紹介しているページのグラフ・数値は、出典を明記いただければ、商用・非商用を問わず、資料・報告書・ウェブサイト等に自由にご利用いただけます。出典の表記例:「出典:ZEB株式会社『ZEBナレッジ』(元データ:環境共創イニシアチブ ZEBリーディング・オーナー一覧)」。データの一括での複製・再配布は対象外です。詳しい条件は利用ガイドライン第2条をご覧ください。

参照

(いずれも2026年10月時点でウェブサイトを確認)