前回ご紹介したZEBデータベースは、全国の認証実績をあらかじめ決められた切り口で集計したものでした。一方で実務では、「自分の県ではどうなのか」「同じ用途の建物のBEIはどのあたりに集まっているのか」といった、もう一歩踏み込んだ問いが出てきます。こうした任意の切り口での集計に応えるのが、シリーズ第3回でご紹介する「ZEBデータインタラクティブ分析」です。
データベースとの違い
両者が見ているデータの元は同じBELS(建築物省エネ性能表示制度)の事例データですが、見せ方が異なります。データベースが「完成した集計表」だとすれば、インタラクティブ分析は「自分で集計できる作業台」です。用途・地域・規模・年度・ZEBレベルといった軸をマウス操作で自由に組み合わせ、全体から詳細へと掘り下げて(ドリルダウンして)確認できます。専用のソフトは不要で、ブラウザ上で動きます。
主な3つの見方
ひとつ目は都道府県別のヒートマップです。認証件数や延床面積を色の濃淡で日本地図上に表すため、ZEBが進んでいる地域とそうでない地域の差が一目で分かります。
ふたつ目はBEI(基準一次エネルギー消費量に対する設計値の比率。小さいほど省エネ)の分布グラフです。用途別にヒストグラムや箱ひげ図(数値のばらつきを示す図)で表示され、検討中のプロジェクトが全国のどの位置にあるかを確かめるベンチマークになります。
みっつ目は年度推移チャートです。『ZEB』『Nearly ZEB』などレベル別の認証件数の移り変わりを折れ線で示し、業界全体の流れをつかめます。
活用のヒント
建物オーナーや自治体のご担当者には、まず地域のヒートマップをお見せするのがおすすめです。「お住まいの地域でも、これだけ実現しています」という説明は、数字の表よりも納得感があります。設計者の方は、用途別のBEI分布で目標値の位置づけを確認すると、過不足のない性能設定の手がかりになります。
なお、グラフや数値を引用する際は、出典と「いつ時点の集計か」を併記すると確実です。ツール上の操作だけでは対応できない個別のカスタム集計や、研究用のデータ抽出も承っていますので、お気軽にご相談ください。
次回は、ZEBで実際に採用されている技術や、断熱・省エネ性能の実例値を確認できる「ZEB技術の分析」を取り上げます。
想定読者:建物オーナー、自治体のZEB・脱炭素ご担当者、設計者