建物の省エネを検討し始めると、多くの方が「自分の建物でZEBは本当に実現できるのか」「他にはどんな事例があるのか」という疑問に突き当たります。ZEB株式会社が公開する「ZEBナレッジ」は、こうした疑問に公的なデータで答えるための無料の情報サイトです。本コラムから数回にわたり、その全体像と各ツールの使い方を、活用シーンとともにご紹介していきます。

なお、ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、高い断熱・省エネ性能と太陽光発電などの創エネを組み合わせ、建物で消費する一次エネルギー(冷暖房・照明・給湯などに使うエネルギーを石油換算で合算したもの)を大幅に削減した建築物のことです。

ZEBナレッジの全体像

ZEBナレッジは、国や関連団体が公表している一次データを整理・集計し、誰でも俯瞰できるようにした分析ツール群です。主に次の機能で構成されています。

ZEBデータベース ― 住宅性能評価・表示協会のBELS(建築物省エネ性能表示制度)事例データをもとに、全国のZEB認証物件を用途や地域など多角的に集計したデータベースです。「まず全国の認証実績を概観したい」という方の出発点になります。

ZEBデータインタラクティブ分析 ― データベースだけではできない任意の集計を可能にした機能です。とくに都道府県別のZEB普及状況をヒートマップで表示し、どの地域でZEBが進んでいるかが一目で分かります。建物オーナーへ「お住まいの地域でもこれだけ進んでいます」と説明する際に役立ちます。

ZEB技術の分析 ― 環境共創イニシアチブの「ZEBリーディング・オーナー一覧(ZEB事例)」をデータベース化したものです。ZEBに採用されている技術を用途や延床面積から確認でき、断熱性能(BPI)や用途別の省エネ性能(BEI/AC、BEI/Lなど)の実例値が分かります。設計者が設計時の目安をつかむのに有用です。

ZEB実績データ分析 ― 環境共創イニシアチブのZEB実証事業の公開データを用い、設計時の省エネ計算値と運用後の実測値を比較したものです。ほとんどの建物で設計時以上の省エネが達成されており、設計段階のシミュレーションが妥当であることを建物オーナーへ説明する材料になります。

既存建築物ZEB化改修経済性分析ツール ― 既存建築物をZEB化改修した場合の経済性を簡易的に試算するツールです。試算結果はあくまで参考情報ですが、改修検討の初期段階で費用対効果のイメージをつかむのに使えます。

次回から

ZEBナレッジの強みは、公的なデータに基づいて立場の異なる相手にも納得感のある説明ができる点にあります。次回以降は、これらのツールを一つずつ取り上げ、具体的な使い方を解説していきます。まずは一度、サイトをのぞいてみてください。