八月に入りました。冷房が最も動くこの時期、届いた電気の請求書を見て「今年もまた上がった」とため息をつかれた方も多いのではないでしょうか。

省エネに取り組みたいが、何から手をつければいいか分からない。そうしたご相談をよくいただきます。計測器の設置やエネルギー管理システムの導入を思い浮かべる方もいらっしゃいますが、実はその前に、すでにお手元にある資料でかなりのことが分かります。毎月届く電気とガスの請求書です。

まずは12か月分を横に並べる

用意していただきたいのは、直近1年分の使用量(kWh、m³)です。金額ではなく使用量を見るのがポイントです。金額には燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金といった単価の変動が含まれるため、建物の使い方が変わっていなくても増減してしまいます。省エネの効果を測るには、まず量で見ることです。

12か月を並べると、たいてい山が二つ現れます。夏と冬です。この山の高さが冷暖房に使われている分、つまり空調負荷の大きさを表しています。

「谷」の高さが教えてくれること

ここでもう一つ注目していただきたいのが、春と秋の「谷」の部分です。冷暖房をほとんど使わない時期にも消費されている電力があり、これをベースロード(基底負荷)と呼びます。

照明、換気ファン、給湯、サーバー、自動販売機、屋外灯、各種機器の待機電力。これらは季節に関係なく、建物が動いている限り消費され続けます。谷が想像より高い場合は、24時間動かす必要のない機器が動き続けている可能性があります。夜間や休館日の使用量が下がりきっていないときも同様です。

一方、夏冬の山と谷の差が大きい建物は、断熱や日射遮蔽の改善で削減できる余地が大きいことを示しています。どちらに投資すべきかの見当が、この一枚のグラフでおおよそつきます。

契約電力も確認を

高圧受電の場合、基本料金の算定基礎となる契約電力は、一般に過去1年間で最も大きかった需要電力(通常30分単位の平均値)で決まります。つまり、真夏のある1日、ある30分の使い方が、その後1年間の基本料金を左右することになります。

請求書に記載された最大需要電力がいつ発生したのかを確認してみてください。空調の一斉起動や、複数機器の運転が重なった時間帯であることが少なくありません。運転開始を時間差にする、といった運用の工夫だけで下げられる場合もあります。

比べるための「原単位」

複数の施設をお持ちの場合は、年間使用量を延床面積で割った値(原単位)を出してみてください。同じ用途・規模の施設で差があれば、そこに何らかの理由があります。設備の古さ、運転時間、あるいは設定の違い。原因を探る出発点になります。

計測を細かくすること自体が目的ではありません。ただ、次にどこへ投資するかを決めるには根拠が要ります。まずは請求書という、すでにある資料から始めてみてはいかがでしょうか。読み解き方や、その先の改修計画についても、お気軽にご相談ください。


想定読者:建物オーナー、施設管理のご担当者、自治体の施設・環境ご担当者、設計者

参照元:電気料金に含まれる燃料費調整額および再生可能エネルギー発電促進賦課金の仕組み、ならびに高圧受電における契約電力の実量制(過去1年間の最大需要電力に基づく決定方式)は、資源エネルギー庁および一般送配電事業者が公表する電気料金制度の説明による。エネルギー消費原単位による比較の考え方は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)における定期報告の枠組みに準じる。

備考:契約電力の算定方式および料金メニューの詳細は、契約先の電力会社・契約種別により異なります。実際の確認にあたっては、ご契約内容をあわせてご参照ください。