猛暑日が続くと、「設定温度を下げているのに室内が冷えない」というご相談が増えます。空調機本体の故障を疑う前に、一度確認していただきたいのが屋外にある室外機のまわりです。ここは費用をかけずに手を打てる余地が残っていることが多く、電気代にも直結します。
室外機は「熱を捨てる」ための装置
エアコンは冷たい空気をつくり出しているわけではなく、室内の熱をくみ上げて屋外に捨てています。その放熱を担うのが室外機です。熱の捨て先である外気の温度が高いほど放熱しにくくなり、同じ冷房量を得るために圧縮機が余分に働きます。結果として、能力が下がり消費電力は増えます。
空調機のカタログにある定格能力は、多くの場合、外気温35℃といった標準条件で測った値です。実際の猛暑日には外気温が38〜40℃近くまで上がることもあり、そこからさらに室外機まわりの環境が悪ければ、機器が置かれている条件は定格からかなり離れていきます。
確認したい三つのポイント
吹出し空気の再吸込み(ショートサーキット)――室外機が吐き出した熱い空気を、自分でもう一度吸い込んでしまう状態です。壁際に密着している、機器同士が向かい合って並んでいる、目隠しルーバーで囲まれている、といったケースで起こります。吸込み温度が数℃上がるだけで効率は目に見えて落ちます。メーカーが指定する離隔距離が確保されているか、図面ではなく現地で確かめてみてください。
日射と周囲の蓄熱――屋上やアスファルトの上に直置きされた室外機は、直射日光と地面からの照り返しを同時に受けます。機器本体に日陰をつくる(ただし通風は妨げない)、床面の反射を抑えるといった対策で条件は改善します。
熱交換器の汚れ――室外機の背面や側面のフィンに、綿ぼこりや落ち葉、飛来物が詰まっていると空気が通らなくなります。定期的な清掃は、コストのかからない省エネ策の代表格です。
設計・改修のときに効いてくる話
こうした問題の多くは、実は計画段階で決まってしまいます。室外機置場は「余ったところ」に配置されがちですが、通風の確保、日射の遮蔽、更新時の搬出入経路まで含めて検討しておくと、建物が使われる数十年にわたって効いてきます。ZEBの省エネ計算では、機器の効率(COPやAPF)を入力して一次エネルギー消費量を求めます。計算上の効率を実際に発揮できるかどうかは、置かれた環境しだいという面があるわけです。
改修で空調更新を検討されている場合も、新しい機器の選定と合わせて、室外機置場の環境を見直す価値は十分にあります。同じ投資でも、得られる効果が変わってきます。
注:室外機に必要な離隔距離や設置条件は機種ごとに異なります。実際の対策にあたっては、メーカーの据付説明書と保守業者の確認をお願いします。清掃や点検を行う際は、必ず電源を切り、高所作業は専門業者にご依頼ください。