連日の猛暑で、冷房のエネルギーをどう賄うかが建物の大きな関心事になる季節です。再生可能エネルギーというと太陽光発電がまず思い浮かびますが、実は電気だけでなく「熱」を直接利用する再エネもあります。今回は、ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)づくりの選択肢として見過ごされがちな、地中熱と太陽熱を取り上げます。
夏の地中は、外気より涼しい
地下10メートル前後まで潜ると、地中の温度は一年を通じてほぼ一定で、おおむねその土地の年平均気温に近い水準に保たれています。つまり夏は外気より低く、冬は外気より高いのです。この温度差を空調の熱源に使うのが「地中熱ヒートポンプ」です。真夏の炎天下の外気ではなく涼しい地中に熱を捨て、冬は暖かい地中から熱をくみ上げるため、外気を熱源とする一般的な空調より効率が高くなりやすいのが特長です。天候や時間帯に左右されにくく、排熱を屋外の空気中に出しにくいため、ヒートアイランド対策の面でも注目されています。
太陽の「熱」も使える
太陽エネルギーの使い道は発電だけではありません。屋根などに設置した集熱器で湯をつくり、給湯や暖房に使う「太陽熱利用」は、昔から使われてきた技術です。湯を多く使う建物――病院や福祉施設、ホテル、スポーツ施設などでは特に効果を発揮しやすく、限られた屋根面積を太陽光発電とどう配分するか、建物の使われ方に合わせて検討する価値があります。
導入のポイントと注意点
地中熱は、採熱用の配管を地中に埋める掘削費用がかかることと、地質条件の確認が必要なことが課題です。新築であれば建物の基礎杭を採熱に活用する方式もあり、計画の早い段階で検討するほど選択肢が広がります。太陽熱は、そもそも湯の需要が十分にある建物かどうかがポイントです。そして、どちらの場合も順番は同じです。まず断熱や日射遮蔽、高効率設備で需要そのものを減らし、そのうえで再エネを組み合わせる――この原則を守るほど、設備は小さく、投資効率は高くなります。導入にあたっては補助制度の対象となる場合もあるため、最新の公募情報の確認をおすすめします。
ZEBというと屋根の上の太陽光パネルに目が向きがちですが、足元の地中にも、降りそそぐ日射にも「熱」という資源があります。新築や設備更新を検討される際は、こうした選択肢もぜひ視野に入れてみてください。エネルギー計画のお悩みは、お気軽にご相談ください。
想定読者:建物オーナー、自治体の公共施設・脱炭素ご担当者、設計者
注:本コラムは一般に公開されている公的情報に基づく概説です。地中熱・太陽熱の効果や導入可否は、地域・地質・建物の用途や規模によって異なります。
出典・参考リンク
- 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/