ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)というと、最新設備を備えた大規模オフィスビルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし全国の認証実績を見ると、件数で目立つのはむしろ延床面積2,000㎡未満の中小規模の建物です。今回は、中小規模の建物がZEBに取り組む際の追い風と、進め方のポイントを整理します。

件数では中小規模が主役

弊社が公開するZEBナレッジの「ZEBデータベース」(BELS=建築物省エネ性能表示制度の事例データを集計したもの)によると、ZEB認証は件数では延床面積2,000㎡未満の建物が多くを占めています。事務所のほか、店舗や福祉施設など身近な用途の事例も豊富です。「ZEB=特別な大型ビル」ではなく、まちなかの普通の建物で実現されている取り組みだと分かります。

中小規模ならではの三つの追い風

第一に、屋根の広さと延床面積のバランスです。低層で床面積が小さい建物ほど、延床面積に対する屋根面積の割合が大きくなり、屋根に載せた太陽光発電で使うエネルギーを賄いやすくなります。創エネを含めて75%以上削減する「Nearly ZEB」や、100%以上を削減する『ZEB』に比較的手が届きやすい構造です。

第二に、設備構成がシンプルなことです。個別方式の空調やLED照明など、汎用性の高い高効率機器の組み合わせで省エネを積み上げやすく、運用が始まってからの調整も行いやすくなります。

第三に、意思決定の速さです。関係者が少ないぶん、目標設定から設計、運用ルールづくりまで一貫した方針で進めやすいのは中小規模の強みです。

進め方は「まず省エネ、次に創エネ」

順番は建物の規模を問わず同じです。断熱や日射遮蔽、高効率設備で使うエネルギーそのものを減らし、足りない分を太陽光発電などの創エネで補います。目標は、ZEBの4区分(『ZEB』・Nearly ZEB・ZEB Ready・ZEB Oriented)から建物の条件に合わせて無理のないものを選べば十分です。国にはZEB化を支援する補助制度があり、中小規模の建物も対象に含まれます。設計や申請の進め方は、ZEBプランナーなどの専門家と組むことでハードルを下げられます。

まずはZEBデータベースで、ご自身の建物と同じ用途・規模の事例がどれくらいあるかを眺めてみてください。「うちの建物でもできそうか」を確かめる、確かな出発点になります。検討にあたってのご相談も、お気軽にお寄せください。


想定読者:中小規模の建物のオーナー・企業の施設ご担当者、自治体のご担当者、設計者

参照元:環境省「ZEB PORTAL」(https://www.env.go.jp/earth/zeb/)。認証件数の傾向はZEBデータベース(BELS事例データ集計)に基づきます。