ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル:省エネと創エネを組み合わせ、使うエネルギーを実質ゼロに近づけた建物)は、設計の工夫によって少ないエネルギーで動くように造られています。しかし、その性能を実際の省エネに変えるのは、建物が動き出してからの「運用」です。今回は、建てた後にこそ差がつく運用のポイントを整理します。
まず「設計どおり」に動いているかを確かめる
新しい建物や改修した建物は、引き渡し直後から設計どおりの性能をすぐに発揮できるとは限りません。空調や換気の制御が現場の使い方に合っておらず、想定より多くのエネルギーを使ってしまうこともあります。そこで役立つのが、設備が設計の意図どおりに動いているかを確認し、調整する「コミッショニング(性能検証)」という考え方です。運用の初期に一度立ち止まって設定を見直すだけでも、無駄を大きく減らせます。
見える化して、こまめに調整する
運用は「設備を入れて終わり」ではなく、続けながら整えていくものです。BEMS(ビル・エネルギー管理システム=エネルギーの使用状況を計測・記録し、最適に制御する仕組み)で使われ方を「見える化」すると、過剰な設定や消し忘れ、誰もいないエリアの空調などに気づけます。季節の変わり目に運転を見直すなど、データを手がかりに小さな調整を重ねることが、性能を保つ近道です。実際、ZEB実証事業の公開データでは、多くの建物が設計時の想定を上回る省エネを達成しています。ZEBナレッジの「ZEB実績データ分析」では、こうした設計値と運用実績の関係を確かめられます。
使う人の協力が成果を左右する
どれだけ性能の高い建物でも、使い方しだいで結果は変わります。窓際の照明をこまめに消す、冷暖房の設定温度を無理のない範囲に保つ――こうした日々の運用は、利用者の協力があってこそ続きます。テナントが入る建物では、省エネの取り組みと効果を共有し、ともに進める姿勢が欠かせません。運用のルールを分かりやすく伝え、成果を「見える化」して共有することが、長く効果を保つ土台になります。
運用は一度きりでなく「続ける」もの
省エネ運用は、年に一度はデータを振り返り、次の一年へ改善をつなぐ――その繰り返しです。設計者・管理者・利用者がそれぞれの立場で関わることで、建物は年を追うごとに賢く動くようになります。「建てて終わり」にせず、運用を味方につける。その視点が、ZEBの価値を最大限に引き出します。運用の見直しでお困りごとがあれば、お気軽にご相談ください。
想定読者:建物オーナー・施設管理ご担当者、自治体の脱炭素ご担当者、設計者
注:本コラムは一般に公開されている公的情報に基づく概説です。運用による省エネ効果の程度は、建物の用途・規模・利用状況によって異なります。
出典・参考リンク
- 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/
- 環境省「ZEBの定義・実現方法」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/01.html