ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、「省エネ」と「創エネ」の二本立てで成り立っています。これまで本コラムでは、断熱や窓、設備といった「使うエネルギーを減らす」工夫を多く取り上げてきました。しかし、もう一方の柱である「創エネ(建物自身がエネルギーを生み出すこと)」も、ZEBを名乗るうえで欠かせません。今回は、創エネの主役である太陽光発電を、どう活かすかを整理します。
まず「減らし」、足りない分を「創る」
ZEBづくりには順番があります。はじめから太陽光発電に頼るのではなく、まず断熱や高効率な設備で建物が使うエネルギーそのものを小さくし、残った分を創エネで補う――これが王道です。消費を減らしておくほど必要な発電量も小さくて済み、設備の規模やコストを抑えられます。
この考え方は、ZEBの区分にもはっきり表れています。「ZEB Ready(ゼブ・レディ)」は、創エネを除いて省エネ50%以上を達成した段階です。その先の「Nearly ZEB(ニアリー・ゼブ)」や最上位の「『ZEB』」へ進むには、創エネを上乗せして、一次エネルギー(冷暖房・照明・給湯などに使うエネルギーを石油換算で合算したもの)の削減率を75%、100%へと高めていく必要があります。創エネは、ZEBのランクを一段引き上げる「もう半分」なのです。
創エネの主役は太陽光発電
建物でできる創エネの代表格が、屋根や敷地に設置する太陽光発電です。ここで大切なのが「自家消費(発電した電気を売らずに、その建物の中で使うこと)」という発想です。昼間に発電した電気をその場で使えば、その分だけ電力会社から買う電気が減り、電気料金の上昇への備えにもなります。使い切れない分は売電したり、蓄電池にためて夕方や非常時に回したりと、運用の幅も広がります。
導入を成功させる勘所
太陽光発電を計画するときは、屋根の面積や向き、日当たり、そして設備の重さに耐えられる構造かどうかが効いてきます。周囲の建物が落とす日影も発電量を左右するため、設計の初期段階から屋根の使い方を考えておくと、後戻りが減ります。
初期費用が気になる場合は、PPA(ピーピーエー)という選択肢もあります。発電事業者が建物の屋根などに太陽光発電設備を設置・所有し、利用者は使った電気の分だけ料金を支払う仕組みで、初期投資を抑えながらZEB化を進めやすくなります。
「減らす」工夫と「創る」工夫は、どちらが欠けてもZEBは完成しません。屋根をどう活かすか――新築はもちろん、改修のタイミングでも検討する価値があります。計画の初期段階から、お気軽にご相談ください。
想定読者:建物オーナー、自治体の脱炭素ご担当者、設計者
注:本コラムは一般に公開されている公的情報に基づく概説です。具体的な発電量・費用・回収年数や制度の要件は、立地や建物の条件によって異なるため、個別にご確認ください。
出典・参考リンク
- 環境省「ZEBの定義」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/01.html
- 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/