連日の猛暑で冷房が欠かせない季節になりました。実は、高圧で電気を受けている多くの建物では、真夏のわずか30分間の電気の使い方が、その後1年間の基本料金を左右します。鍵になるのが「デマンド値」です。今回は、この仕組みと今日からできるピーク対策、そしてZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化との関係を整理します。
電気料金を左右する「デマンド値」とは
オフィスビルや庁舎など高圧受電の建物の電気料金は、使った量に応じた「電力量料金」と、契約電力に基づく「基本料金」で構成されます。このうち契約電力は、30分ごとの平均使用電力(デマンド値)の最大値をもとに決まる方式が広く使われており、多くの場合、直近12か月で最も大きかった値が適用されます。つまり、真夏の午後に冷房や設備の稼働が重なって一度でも大きなピークをつくると、その値が1年間、基本料金に反映され続けるのです。逆に言えば、ピークの山を少し低くするだけで、総使用量を減らす以上の料金効果が見込める場合があります。
今日からできるピークの「山くずし」
第一歩は、自分の建物のデマンド値がいつ・どのくらい出ているかを知ることです。デマンド監視装置やBEMS(ビル・エネルギー管理システム)があれば、ピークの発生時間帯と原因となる設備を確認できます。そのうえで、朝の涼しい時間帯に建物を予冷して午後の負荷をならす、空調や大型設備の起動時刻を少しずつずらして同時稼働を避ける、設定温度を無理のない範囲で見直す、といった運用の工夫が有効です。太陽光発電のある建物では、日中の冷房ピークと発電時間帯が重なりやすいため、発電した電気の自家消費もピーク抑制に寄与します。
根本対策は「負荷そのものを減らす」こと
運用の工夫と並ぶもう一つの柱が、建物側の対策です。断熱や日射遮蔽で夏の熱の侵入を抑え、高効率の空調・照明に更新すれば、ピークの山そのものが低くなります。これはまさにZEB化の考え方であり、ZEBが「電気代に強い建物」と言われるゆえんでもあります。同じ用途・規模の建物でどのような省エネが実現しているかは、ZEBナレッジ(https://www.zeb.co.jp/knowledge/)の事例データからも確認できます。夏の電気代やピーク対策にお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。
想定読者:建物オーナー・施設管理ご担当者、自治体の公共施設・脱炭素ご担当者、設計者
注:契約電力の決まり方(実量制)は、受電契約の種別や電力会社によって異なります。詳細はご契約中の電力会社の約款・料金メニューをご確認ください。
出典・参考リンク
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/
- 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/