省エネ計算書の数値は良いのに、電気代が思ったほど下がらない――。そんなとき、見落とされがちなのが「コンセント負荷(プラグロード)」です。パソコンやサーバー、コピー機など、コンセントにつながる機器の電力は、実はZEBの評価に含まれていません。今回は、この”計算に出てこない電力”との付き合い方を考えます。
ZEBの評価対象は5用途
ZEBの達成度を測るBEI(基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の比率)は、空調・換気・照明・給湯・昇降機の5用途で計算します。一方、OA機器やサーバー、給湯室の冷蔵庫・電気ポットといったコンセント負荷は、建物側の設計では制御しにくく使い方に左右されるため、「その他エネルギー」として評価の対象外になっています。
それでも実際の電気代には効いてくる
計算の対象外でも、実際のメーターは回ります。事務所ビルではコンセント負荷が全消費電力の2〜3割程度を占めるといわれ、照明のLED化が進んだ建物ほど相対的な存在感は増します。「ZEB認証は取れたのに、運用実績が計算と合わない気がする」というとき、その差の一部はこのコンセント負荷であることが少なくありません。
オーナー・テナントができる工夫
設備改修のような大きな投資をしなくても、打てる手はあります。OA機器の更新時に省エネ性能(国際エネルギースタープログラム適合など)を確認する、離席時のスリープ設定や退勤時の電源オフをルール化する、サーバーの集約やクラウド移行を検討する(サーバー室の空調負荷も同時に減ります)、自販機や給湯室の家電の台数・配置を見直す――いずれも運用の中で始められる取り組みです。
計量計画で「見える化」しておく
新築や改修の際は、コンセント系統を照明・空調と分けて計量できるようにしておくことをおすすめします。運用後に「設計値との差はどこから来ているのか」を切り分けられ、節電の成果も数字で確認できるからです。当社の「ZEBナレッジ」のZEB実績データ分析でも紹介しているとおり、ZEB実証事業の公開データでは多くの建物で設計時の計算どおり、あるいはそれ以上の省エネが達成されています。設計計算は信頼できる。だからこそ、計算の外側にあるコンセント負荷は、運用の工夫がそのまま成果につながる領域なのです。
注:コンセント負荷の比率は建物の用途やテナント構成によって大きく異なります。具体的な削減余地は、計量データに基づく個別の診断でご確認ください。
出典・参考リンク
- 環境共創イニシアチブ(SII)ZEB実証事業 公開データ