外気温が下がる季節は、冷凍冷蔵設備にとって運転しやすい時期です。ところが、厨房や店舗、福祉施設、給食室などにある業務用冷蔵庫・冷凍庫は24時間動き続けるため、小さな不具合が電気代にそのまま積み重なります。空調の陰に隠れがちなこの設備を、冬の入口で点検する視点を整理します。

冬に起きやすい三つのロス

1. 凝縮器(熱を外へ捨てる部分)の汚れ
冷却で集めた熱は、凝縮器から空気へ放出されます。ここにほこりや油が詰まると熱が捨てにくくなり、コンプレッサー(圧縮機)が余計に働きます。夏に汚れが溜まったまま冬を迎えていることが多く、清掃の好機です。

2. ドアパッキンの劣化とすきま
パッキンが硬化・変形すると、庫内の冷気が漏れ、外の湿った空気が入り込みます。確認の目安は、扉に紙を挟んで軽く引き抜けるかどうか。簡単に抜けるなら、すきまがある可能性があります。

3. 霜の付きすぎ
扉の開閉が多い、すきまがある、庫内に詰め込みすぎて冷気が回らない、といった状況では蒸発器(庫内の冷却部)に霜が付きやすくなります。霜は熱の通りを悪くし、除霜運転(霜を溶かす運転)の回数も増やします。

無理なく始める点検の進め方

  1. 台帳を作る:設置場所、台数、庫内温度の設定、設置年を一覧にします。使っていない庫が通電していないかも確認します。
  2. 庫内温度を測る:設定値と実際の温度が合っているか確認します。必要以上に低い設定は、電力の無駄につながります。ただし、食品の保管温度は衛生管理上の基準があるため、変更は担当者・保健所の指導や社内の衛生管理ルールを確認したうえで行ってください。
  3. 清掃と目視:凝縮器のほこり、パッキンの傷み、庫内の詰め込み具合、排水口の詰まりを確認します。
  4. 設置環境を見る:機器まわりの換気が確保されているか、熱源の近くに置かれていないかを確認します。

運用の工夫

  • 扉の開放時間を短くし、取り出す物をまとめて出す。
  • 熱い食材は粗熱を取ってから入れる。
  • 夜間の開放型ショーケースにはカバーやナイトシェード(夜間に覆うカーテン)の導入を検討する。
  • 更新時は、高効率機種や、冷媒の規制・扱いを踏まえた選定を、メーカーや施工者に相談する。

ZEBとの関係

業務用の冷凍冷蔵設備は、建物の用途や設備の位置づけによって、一次エネルギー消費量の計算に含まれない場合があります。たとえば標準入力法では、室全体が冷凍庫・冷蔵庫になっている冷凍室・冷蔵室は評価の対象外とされています。設計値どおりに運用していても電力量が計画を上回るとき、こうした「計算の外」の負荷が背景にあることがあります。竣工後の電力量を見るときは、計算に含まれる設備と含まれない設備を分けて把握しておくと、原因を切り分けやすくなります。

まずは1台ずつの台帳づくりと、凝縮器・パッキンの現地確認から始めてみてはいかがでしょうか。


想定読者:建物オーナー、自治体の施設担当者、厨房・店舗・給食施設などの設備管理者、設計者

注:本コラムは公開されている資料に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。

参照

  • 国土交通省 国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人 建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)標準入力法 入力マニュアル Ver.3.10」(2026年4月)、建築研究所「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」に掲載:https://www.kenken.go.jp/becc/building.html (評価の対象外となる室〔冷凍室・冷蔵室・定温室〕:p.v〜vi)