工場の工作機械、病院の医療用エア、食品工場の搬送設備など、圧縮空気(コンプレッサーで空気を圧縮して配管で送るもの)は多くの建物で使われています。目に見えず音も小さいため、配管のわずかな漏れが長期間放置されがちです。生産や稼働の少ない冬の入口は、設備の台帳と運転状況を見直すのに向いた時期です。

なぜ漏れが電気代につながるのか

圧縮空気は、電気で空気を圧縮してつくる「高価なエネルギー」といわれます。漏れた分だけ、コンプレッサーが余計に運転して補います。小さな穴でも、運転時間が長ければ積み重なります。しかも漏れは、生産や使用が止まっている夜間・休日にも続き、以前のコラム「夜間と休日の電気を見る」で取り上げた夜間・休日のベースロード(常時流れている電力)の一因になることがあります。

漏れが起きやすい場所

  • 継手、ホース、カップリング(接続部)
  • 使用していない機器につながったままの配管の末端
  • ドレン排出弁(水抜き)の不具合
  • 空気を使う工具・機器の劣化したパッキン

無理なく始める確認の進め方

  1. 休止時の状態を確認する:機器をすべて止めた状態でコンプレッサーが頻繁に動くなら、漏れの可能性があります。
  2. 音と石けん水で探す:静かな時間帯に「シュー」という音を探し、接続部に石けん水を塗って泡の出方で確認します。専用の超音波検知器を使う方法もあります。
  3. 漏れ箇所を記録する:場所・状況・対応を一覧にし、直したあとにコンプレッサーの運転状況がどう変わったかを見ます。
  4. 使っていない系統を切り離す:元バルブで止められる配管は止めます。ただし、医療用など安全に関わる系統は、必ず担当者・メーカーに確認してから操作してください。

運用面の見直し

  • 圧力の設定が必要以上に高くないか確認する(下げられる場合でも、機器の必要圧力を確認したうえで行う)。
  • 複数台のコンプレッサーがある場合は、台数制御や運転順序を確認する。
  • 吸込み空気や設置室の温度が高すぎないか、フィルターが目詰まりしていないかを見る。
  • 更新時は、容量の適正化やインバータ機の採用を、メーカー・施工者に相談する。

ZEBとの関係

建物の一次エネルギー消費量の計算の対象になる設備は、空調・換気・照明・給湯・昇降機で、コンプレッサーは含まれません。そのため圧縮空気に使う電力は計算には入らず、竣工後に「計算より電力量が多い」原因として表れることがあります。計算に含まれる設備と、そうでない設備とを分けて電力量を把握しておくと、原因の切り分けがしやすくなります。効果の大きさは設備や運転条件で大きく異なるため、まずは休止時の運転状況の確認から始めてみてはいかがでしょうか。


想定読者:工場・病院・食品施設などの設備管理者、建物オーナー、自治体の施設担当者、設計者

注:本コラムは公開されている資料に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。

参照

  • 国土交通省 国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人 建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)標準入力法 入力マニュアル Ver.3.10」(2026年4月)、建築研究所「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」に掲載:https://www.kenken.go.jp/becc/building.html (評価の対象となる設備:p.viii)