日が短くなり、夕方には室内の暖かさが窓から逃げやすくなります。窓の断熱改修は費用も工期もかかりますが、ブラインドやカーテンの使い方を見直すだけでも、窓まわりの熱の出入りはある程度変えられます。今回は、設備を替えずに始められる冬の窓まわりの運用を整理します。
窓は壁より熱を通しやすい
ガラス面は壁に比べて熱を通しやすく、冬は室内の熱が逃げ、窓ぎわの空気が冷やされます。冷えた空気は足元へ流れ落ち(コールドドラフト)、窓ぎわの人が「寒い」と感じて暖房の設定温度を上げる、という流れにつながりがちです。窓ぎわの寒さは、体感を通じて建物全体の暖房の使い方にも影響します。
昼は開ける、夕方は閉める
冬の晴れた日中は、日射がそのまま室内を暖めてくれます。ブラインドを閉めたままにすると、せっかくの熱を取り込めません。一方、日没後は逆に窓から熱が逃げる時間帯になります。次のような運用が目安です。
- 日中:日射が入る面は、まぶしさに配慮しつつ、なるべく開けて日射を取り込む。
- 夕方〜夜:ブラインドやカーテンを閉め、窓と室内の間に空気の層をつくる。
- 退社時:最後に閉める担当を決める。朝は暖房の立ち上がり前に開けるかどうかも、方位ごとに決めておく。
カーテンは、床まで届く丈で、窓の上下左右のすきまが少ないほど、窓ぎわの冷気が室内へ流れにくくなります。一方で、カーテンの内側に暖房の吹出口や機器が隠れると、暖気が窓側へ逃げたり、機器が働きにくくなったりすることがあります。吹出しの向きと遮るものの位置も、あわせて確認してください。
「誰が閉めるか」を決めておく
運用の対策は、担当が決まっていないと続きません。電動ブラインドがある建物では、日の入りの時刻に合わせたスケジュール設定や、季節ごとの設定変更が有効な場合があります。手動の場合は、方位ごとの担当や、終業時のチェックリストに一行加えるだけでも定着しやすくなります。
効果は「窓ぎわの体感」と「使用量」で確かめる
効果の大きさは、窓の仕様や方位、ブラインドの種類によって異なります。数値で語るより、まず窓ぎわの席の寒さの訴えが減ったか、暖房の設定温度を下げられたかを確かめるのが現実的です。電気・ガスの使用量は、気温の違いで増減するため、前年同時期との比較は気象の影響を考慮して見てください。
窓まわりの運用で寒さが十分に和らがない場合は、内窓の設置や断熱フィルムなど、窓そのものの改善を検討する材料になります。運用で試した結果は、改修の必要性を建物オーナーや関係者に説明するときにも役立ちます。
想定読者:建物オーナー、施設管理担当者、自治体の設備担当者、設計者
注:本コラムは、建築環境工学・省エネ設計の一般的な知見に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。