お盆の時期は、多くの建物で人がぐっと減ります。フロアの半分が空いていても空調は動いている、という状態は珍しくありません。実はこの「軽い負荷」の時間帯こそ、熱源機がいちばん効率を落としやすい場面です。今回は、機器を選ぶときに見た効率と、実際に出ている効率がなぜずれるのかを整理します。

定格の効率は、めったに起きない条件の値

冷凍機やパッケージエアコンのカタログに載っているCOP(消費電力1に対して得られる冷熱量の比)は、定格条件――つまり機器が能力いっぱいで運転しているときの値です。ところが建物の冷房負荷は、外気温、在室人数、日射で刻々と変わります。設計上のピークに近い負荷がかかるのは、一年のうちごく限られた時間にすぎません。

大半の時間は、能力の半分以下しか使っていない「部分負荷」の運転です。そのため、パッケージエアコンでは通年の運転を想定したAPF(通年エネルギー消費効率)という指標が用意されています。機器を比較するときは、定格COPだけでなく部分負荷側の特性も併せて見ておきたいところです。

部分負荷での挙動は、機器によって正反対

ここが判断の分かれ目になります。

インバータで容量を絞れない定速機の場合、負荷が軽くなると発停を繰り返したり、能力を持て余したまま運転を続けたりして、効率が落ちていきます。一方、インバータを搭載した機種では、負荷を絞った領域のほうがかえって効率が高くなることがあります。熱交換器の面積に対して処理する熱量が小さくなり、圧縮機の仕事が軽くなるためです。

つまり「大きい機械を一台、余裕をもって入れておく」という発想は、ピーク時には安心でも、それ以外の大半の時間ではかえって不利に働きかねません。

一台で回すか、分けて回すか

そこで効いてくるのが台数分割と台数制御です。容量を複数台に分けておけば、軽い負荷のときは一台だけを効率のよい範囲で運転し、負荷が伸びたら順次立ち上げる、という運転ができます。冗長性が生まれるので、一台が故障しても全面停止にはならないという利点もあります。

判断の材料になるのは、実際の負荷の出方です。BEMSや中央監視で熱源の負荷率を時系列で見ると、「何%の負荷で何時間運転しているか」がわかります。これを見ずに台数構成を決めると、どうしてもピーク側に寄った設計になりがちです。

運用側でも、台数制御の起動・停止のしきい値、冷水の送水温度、二次ポンプの流量制御といった設定が、竣工時のまま何年も触られていないことがあります。お盆前後のように負荷が読みやすい時期は、設定を見直して効果を確かめるのに向いています。

省エネ計算でも、部分負荷は考慮される

ZEBの評価に用いる省エネ計算プログラムでは、熱源機の定格能力や定格の消費エネルギーに加えて、機器種別ごとの部分負荷特性を織り込んで計算されます。同じ総容量でも台数構成や機器の選び方で結果が変わるのは、このためです。設計段階で台数分割を検討することは、実運用の光熱費と計算上のBEI、その両方に効いてきます。

猛暑のさなかは「足りるかどうか」に意識が向きます。ただ、一年を通した光熱費を決めているのは、むしろ穏やかな日の運転のほうです。


注:機器の部分負荷特性は機種・容量・運転条件によって異なります。実際の機器選定や制御設定の変更にあたっては、設備設計者およびメーカーへのご確認をお願いします。

出典・参考リンク