「うちの建物はZEBです」と言うためには、どこかで誰かがそれを確かめる必要があります。その役割を担うのが、第三者評価であるBELS(ベルス/建築物省エネルギー性能表示制度)です。補助事業の要件や、入札・テナント募集での訴求にも使われますが、いざ申請の段になって「そういう決まりだったのか」と気づく点がいくつかあります。今回は、計画の早い段階で知っておきたい三つを整理します。

BELSは「設計時点の性能」を評価する

BELSは2014年に始まった省エネ性能の表示制度で、評価機関が第三者として建物の省エネ性能を評価します。指標はBEI(設計上の一次エネルギー消費量を国の基準値で割った値。小さいほど省エネ)で、値に応じて星の数が付き、基準を満たせば『ZEB』『Nearly ZEB』『ZEB Ready』『ZEB Oriented』の表示も受けられます。

押さえておきたいのは、BELSが評価するのは設計時点の性能であって、運用の実績ではないという点です。表示は「設計でここまで作り込んだ」という証明であり、運用の管理は別の話として続きます。

つまずき1:同じ敷地でも、棟をまとめては表示できない

ZEB等の表示ができる範囲は、建築物全体(非住宅のみの建物全体)、複合建築物の非住宅部分全体、または非住宅の単一用途部分に限られます。ここでいう建築物は建築基準法上の一の建築物を指すため、同一敷地内に複数棟がある場合、それらをまとめて一つのZEBとして評価・表示することはできません

本館は届いたが別棟の車庫や倉庫が足を引っ張る、という構成では、棟ごとに成否が分かれます。分棟計画では、どの棟でZEBを取るのかを基本設計の段階で決めておくと、後戻りが減ります。

つまずき2:売電すると、太陽光が「星」に入らない

意外に知られていないのが、太陽光発電の扱いです。ZEBの判定では再生可能エネルギーを含めた削減率を見ますが、BELSの星の算定は省エネ基準の考え方に沿うため、少しでも売電している場合、その太陽光発電設備は星の算定に含められません。結果として、『ZEB』の表示は受けられても、星は再エネを除いた値で付くことになります。

自家消費とするか余剰を売電するかは事業性の観点で決めることが多いはずですが、表示の見え方にも影響します。ラベルの見栄えを気にされる場合は、設計の早い段階で確認しておくとよいでしょう。

つまずき3:計算のやり直しは、変更のたびに起きる

申請の時期そのものに決まりはありません。省エネ適合性判定と同じ評価機関に並行して申請すれば、計算書等の一部を省略できる場合もあります(運用は機関によって異なります)。

一方で、機器の型番変更や仕様の見直しがあれば、そのつど一次エネルギー計算をやり直すことになります。竣工間際の変更は工程にも費用にも響きますので、設計変更が生じたら省エネ計算への影響を早めに確認しておいてください。

なお、延べ面積10,000㎡以上の大規模建物では、用途別に再エネを除く30〜40%以上の削減と「未評価技術」(CO2濃度による外気量制御、自然換気システム、フリークーリング、超高効率変圧器など)の採用を要件とするZEB Orientedという区分もあります。補助事業を利用する場合の要件は事業ごとに異なりますので、計画の初期に一度ご相談ください。


想定読者:建物オーナー、自治体の営繕・環境ご担当者、設計者、施工者

参照元:環境省「ZEB PORTAL ― ZEBに関連する評価・認証・表示制度」(https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/09.html)、一般社団法人住宅性能評価・表示協会「建築物省エネルギー性能表示制度とは」(https://www.hyoukakyoukai.or.jp/bels/info.html)、日本ERI株式会社「BELS評価におけるZEB表示の手引き」2025年12月版。ZEB Orientedの要件は「平成30年度ZEBロードマップフォローアップ委員会とりまとめ」に基づきます。申請手続き・料金・図書省略の運用は評価機関により異なるため、実際の申請にあたっては各評価機関および最新の公的情報をご確認ください。本コラムでは審査期間・費用の具体的な数値は記載していません。