日が短くなり、夕方に照明をつける時間が早まってきました。照明は、事務所や学校、店舗など多くの建物で電力消費の大きな部分を占めます。すでにLED化を済ませた建物でも、「その先」の省エネ余地が残っていることがあります。今回は、器具の交換に加えて検討したい「制御」の考え方を整理します。

LED化は出発点

蛍光灯や水銀灯からLEDへの更新は、同じ明るさをより少ない電力で得られるため、効果の出やすい対策です。ただし、更新して終わりにすると、「必要のない場所・時間帯にも同じ明るさで点灯し続ける」という無駄は残ります。ここで役立つのが、点灯の仕方を賢くする制御です。

代表的な制御の種類

  • 人感センサー(在室検知):人がいないときに減光・消灯します。廊下、トイレ、倉庫、会議室など、利用が断続的な場所と相性が良い方法です。
  • 昼光利用制御:窓から入る自然光の量に応じて、窓ぎわの照明を自動で減光します。窓が多く日当たりの良い執務室で検討しやすい方法です。
  • 初期照度補正:新品の照明は、使い込んだ後に必要な明るさを見込んで、やや明るめに設計されています。この「余裕分」を、新しいうちは電力を絞って打ち消す仕組みです。
  • タイムスケジュール制御:始業前や昼休み、夜間など、時間帯に応じて点灯範囲を切り替えます。

ZEBの評価での位置づけ

建築物省エネ法の一次エネルギー消費量の計算のうち標準入力法(WEBPRO)では、照明の入力で、在室検知制御・明るさ検知制御(昼光利用制御にあたるもの)・タイムスケジュール制御・初期照度補正機能の有無と方式を選びます。方式ごとに係数が定められていて、照明の消費電力にその係数を掛けて評価する仕組みです。たとえば、点滅タイプの人感センサーは0.70、時刻による減光は0.95、LEDの初期照度補正は0.95です。手動スイッチによる点滅や、カードキー式のスイッチは、在室検知制御の対象になりません。

計画時・運用時のポイント

制御は「入れること」より「合う場所に入れること」が大切です。たとえば、常時多くの人がいる大部屋に人感センサーをつけても効果は限られます。逆に、利用がまばらな室では大きな効果が期待できます。また、センサーの感度や減光レベルが利用者の感覚に合わないと、手動で解除されて効果が出なくなることもあります。導入後に、利用者の声を聞いて設定を調整する運用が欠かせません。

改修では、既存の配線や回路分けの都合で、導入できる制御が限られる場合もあります。器具交換の工事と同時に制御方式を検討すると、追加の工事を減らせることがあります。

照明は、明るさそのものを削るのではなく、「必要なところに、必要なときだけ」届けることが基本です。LED化を済ませた建物こそ、制御の見直しで次の一歩を探してみてはいかがでしょうか。


想定読者:建物オーナー、施設管理担当者、自治体の施設担当者、設計者

注:本コラムは公開されている技術資料に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。

参照

  • 国土交通省 国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人 建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)標準入力法 入力マニュアル Ver.3.10」(2026年4月)、建築研究所「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」に掲載:https://www.kenken.go.jp/becc/building.html (照明制御の種類と係数:表4-1-1〜4-1-4、p.114〜120)