オフィスや庁舎の照明は、空調と並んで建物のエネルギー消費の大きな部分を占める用途です。「うちはもうLEDにしたから大丈夫」という声をよく聞きますが、実はLED化はゴールではなく出発点。同じLEDでも「点け方」を工夫すると、もう一段の省エネが見えてきます。ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の設計でも、照明制御は定番の技術です。
まずはLED化 ― 蛍光灯には期限が迫っている
LED(発光ダイオード)照明は、蛍光灯などの従来光源に比べて少ない電力で同じ明るさを得られ、寿命も長いため、交換の手間も減らせます。加えて見逃せないのが期限の問題です。水銀に関する国際条約(水俣条約)により、一般照明用の蛍光ランプは2027年末までに製造・輸出入が段階的に禁止されることが決まっています。今後は交換用ランプの入手が難しくなっていくため、蛍光灯が残る建物では、器具ごとLEDへ計画的に更新することが現実的な備えになります。
LEDを「賢く点ける」三つの工夫
効果を伸ばす鍵は制御です。第一に昼光利用制御。窓際は日中、外の光だけで十分明るいことが多いため、明るさセンサーで照明を自動的に絞ります(LEDは調光=明るさの微調整が得意です)。第二に人感センサー。会議室や倉庫、トイレなど人の出入りが不規則な場所で、不在時の消し忘れを防ぎます。第三にゾーニングとスケジュール。フロア一斉の点灯ではなく、エリアごとに細かく分けて点灯・消灯できるようにし、退勤時間後は必要な範囲だけ残す運用です。さらに、手元は明るく・室内全体は控えめにするタスク・アンビエント照明という考え方もあり、執務の快適さを保ちながら全体の消費を抑えられます。
どこまでやるか ― 目安はZEBナレッジで
「制御までやる価値があるのか」を判断するには、実例の水準を知るのが近道です。当社のZEBナレッジ(https://www.zeb.co.jp/knowledge/)の「ZEB技術の分析」では、ZEB事例の照明の省エネ性能(BEI/L=照明の一次エネルギー消費量が基準に対してどの程度かを示す指標)を用途別に確認でき、自分の建物で目指す目安がつかめます。もちろん、暗くして我慢する省エネは長続きしません。作業に必要な明るさは確保したうえで、「必要なときに、必要な場所だけ」を仕組みで実現するのが照明省エネの王道です。
蛍光灯の期限という追い風もあり、照明はいま最も着手しやすい省エネ改修のひとつです。器具の更新時期が近い建物こそ、制御まで含めた計画を検討してみてください。照明改修やZEB化のご相談は、お気軽にお寄せください。
想定読者:建物オーナー、自治体の公共施設・脱炭素ご担当者、設計者
注:本コラムは一般に公開されている公的情報に基づく概説です。照明の省エネ効果は建物の用途・使い方・器具構成によって異なります。導入の際は個別にご検討ください。
出典・参考リンク
- 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/