夏の熱の入口として「窓」の対策を以前ご紹介しましたが、もうひとつの大きな受熱面が「屋根」です。最上階だけ冷房が効きにくい、天井付近がもわっと暑い――そんな建物では、屋根の暑さ対策が効きます。今回は、既存建物でも取り入れやすい「クールルーフ」と「屋上緑化」を取り上げます。

真夏の屋根は想像以上に熱い

夏の日中、日射を受け続ける屋根の表面温度は外気温を大きく上回り、素材や色によっては60℃前後に達することもあるとされています。この熱が屋根スラブ(屋根の構造躯体)を通してじわじわと室内に伝わり、最上階の冷房負荷を押し上げます。屋根面積の大きい平屋の工場・倉庫・体育館・庁舎などでは、建物全体に占める屋根からの熱の影響がとりわけ大きくなります。しかも躯体にたまった熱は夜間も放出され続けるため、夜になっても最上階が暑い、という悪循環を生みます。

「塗るだけ」で始められるクールルーフ

クールルーフとは、日射を反射しやすい高反射率塗料(いわゆる遮熱塗料)などで屋根の表面を仕上げ、表面温度の上昇そのものを抑える手法です。表面が熱くならなければ室内へ流入する熱も減り、最上階の冷房負荷の軽減が期待できます。

魅力は、防水改修や塗り替えといった屋根のメンテナンス時期に「仕様を変えるだけ」で実施しやすく、初期投資が比較的小さいことです。一方で注意点もあります。表面の汚れで反射性能が落ちるため定期的な点検が必要なこと、また寒冷地では冬の日射熱まで反射して暖房負荷がわずかに増える場合があることです。屋根断熱の強化と組み合わせれば、夏冬を通じてバランスよく効果を得やすくなります。

緑の力を借りる屋上緑化

屋上緑化は、屋根の上に土壌と植物の層を設け、土の断熱効果と植物の蒸発散(水分が蒸発するときに熱を奪う働き)で屋根面の温度上昇を抑える手法です。冷房負荷の低減に加え、街全体の温度上昇を和らげるヒートアイランド対策や、憩いの場としての利用価値といった副次効果も期待できます。

ただし、土壌と植栽の重さに構造が耐えられるか、防水や排水、灌水(水やり)と維持管理の体制はどうするか、といった事前の検討が欠かせません。自治体によっては緑化への助成制度や、一定規模の建築に緑化を求める条例を設けている例もあるため、計画の際は所在地の制度を確認してみてください。

ZEB(ゼブ/ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の考え方では、まず建物の「器」で熱の出入りを減らし、その上で設備を効率化するのが王道の順番です。窓に続き屋根も、熱を「入る前に防ぐ」代表的なポイント。防水や塗装の更新時期は、暑さ対策に切り替える絶好の機会です。改修計画やエネルギー計画のお悩みは、お気軽にご相談ください。


想定読者:建物オーナー、自治体の公共施設・脱炭素ご担当者、設計者

注:本コラムは一般に公開されている公的情報に基づく概説です。クールルーフ・屋上緑化の効果は、地域の気象条件や建物の構造・断熱仕様・用途によって異なります。導入の際は個別にご検討ください。

出典・参考リンク

  • 環境省「ZEB PORTAL(ゼブ・ポータル)」 https://www.env.go.jp/earth/zeb/
  • 環境省「ヒートアイランド対策」関連情報 https://www.env.go.jp/air/life/heat_island/