ZEBを具体的に検討する段階になると、設計者やオーナーから「他のZEBは実際どのくらいの性能を出しているのか」「自分たちの目標値は高すぎ・低すぎないか」という問いが出てきます。シリーズ第4回でご紹介する「ZEB技術の分析」は、全国の先行事例の性能値を一覧で確認し、設計の”ものさし”として使えるツールです。

どんなデータを集めているか

このツールは、環境共創イニシアチブ(SII)が公表する「ZEBリーディング・オーナー一覧(ZEB事例)」をデータベース化したものです。補助事業などで実際にZEBを実現した建物の情報がもとになっているため、机上の理論値ではなく「認証まで到達した建物の実例値」を見られるのが特徴です。用途(事務所・学校・病院など)や延床面積で絞り込めるので、検討中の建物と条件の近い事例だけを抜き出して比べられます。

性能指標の見方

確認できる主な指標は、断熱性能を表すBPIと、設備ごとの省エネ性能を表すBEIです。

BPI(ビーピーアイ)は外皮(壁・屋根・窓など建物の外周部)の熱性能を示す指標で、値が小さいほど断熱や日射遮蔽がよく効いていることを意味します。BEI(ビーイーアイ)は基準となる一次エネルギー消費量に対する設計値の比率で、こちらも小さいほど省エネです。BEIは設備別に分かれており、BEI/ACは空調、BEI/Lは照明の省エネ度合いを表します。これらを見比べると、「外皮の断熱で攻めている事例なのか、空調や照明の設備で削っている事例なのか」といった、建物ごとの”勝ち筋”の違いまで読み取れます。

活用のヒント

設計者の方は、同じ用途・規模の事例のBPIやBEIの水準を見て、自分の計画値が現実的な範囲にあるかを確かめる目安に使えます。オーナーや自治体のご担当者には、「条件の近い建物が、この性能を実際に達成している」という具体的な裏づけになります。

なお、ここで見える数値はあくまで先行事例の実例であり、立地や規模、使い方によって最適な技術の組み合わせは変わります。気になる事例があれば、それをどう実現したかも含めてお気軽にご相談ください。

次回は、設計時の計算値と運用後の実測値を比べられる「ZEB実績データ分析」を取り上げます。


想定読者:建物オーナー、自治体のZEB・脱炭素ご担当者、設計者

参照元:環境共創イニシアチブ「ZEBリーディング・オーナー一覧(ZEB事例)」