暖房シーズンが近づくと、玄関まわりの足元がスースーするという声が増えます。出入口は、建物の外皮のなかでも「人が頻繁に開け閉めする穴」です。今回は、風除室(ふうじょしつ)を中心に、出入口から逃げる熱の考え方と、見直しのヒントをご紹介します。

出入口で熱が逃げる二つの経路

一つは、ドアやガラス自体を通り抜ける熱で、これは断熱性能の問題です。もう一つは、ドアを開けた瞬間に起こる空気の入れ替わりです。冬は、暖かい室内の空気が建物上部の隙間などから外へ出ていき、そのぶん冷たい外気が1階の出入口など下のほうから入り込みます。建物が高いほど、この「煙突効果」(上下の温度差による空気の流れ)は強まる傾向があります。人の出入りが多い施設ほど、後者の影響が無視できなくなります。

風除室という「空気のバッファ」

風除室は、外と室内のあいだに設ける小さな前室です。内側と外側のドアが同時に開かないようにできれば、外気が直接室内へ流れ込むのを和らげられます。ただし、内外のドアを同時に開けたままにすると効果は薄れます。ドアの開閉タイミングや、人が滞留しない動線も効果に関わります。

既存の建物でできること

  • 自動ドアの開放時間・開閉速度の設定を見直す(無駄に長く開いていないか)
  • ドア周囲のパッキンやすき間、下端の隙間を点検する
  • 大開口の出入口に、簡易な前室やビニールカーテン等を設けられないか検討する
  • 出入口付近の暖房や給気の吹き出し位置が、外へ熱を逃がす配置になっていないか確認する
  • 利用の少ない出入口を冬期のみ閉鎖できないか、運用で相談する

どれも比較的小さな工事や設定変更で試せます。ただし、避難経路やバリアフリー、防火の要件に関わる部分は、法令上の制約があるため、設計者や施工者に確認しながら進めてください。

設計・改修で考えておきたいこと

新築や大規模改修では、出入口の位置と数、風除室の有無、ドアの種類を早い段階で検討すると、後から対策するより無理がありません。ZEBの計算では出入口の開閉による空気の出入りが細かく反映されにくい面があるため、設計値だけでは見えない部分として、運用段階の観察も大切です。

まずは、一番出入りの多い玄関に朝のうちに立ち、冷たい空気がどちらへ流れているかを確かめてみてはいかがでしょうか。


想定読者:施設の建物オーナー、管理担当者、自治体の施設担当者、設計者

注:本コラムは、建築環境工学・省エネ設計の一般的な知見に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。