年末年始やお盆のように、建物を数日以上使わない期間があります。誰もいないのに空調や照明が動き続けていれば、その分の電気やガスはそのまま無駄になります。一方で、何でも止めればよいわけではありません。今回は、長期休館に入る前に整理しておきたい「止めてよいもの」と「止めてはいけないもの」の考え方をまとめます。

「止めてよい設備」を洗い出す

休館中に不要になるものの代表は、空調、換気、照明、事務機器のコンセント負荷です。意外に見落とされやすいのが、次のような設備です。

  • 給湯器や貯湯タンクの保温運転(休館中は使われないため、停止できる場合があります)
  • 自動販売機、温水洗浄便座、電気ポットなどの待機電力
  • エレベーターや照明の「休日モード」「夜間モード」の設定

ただし、貯湯槽や配管の湯を長く止めると、レジオネラ属菌が増えやすくなります。再開時は設定温度まで十分に加熱し、配管内の湯を入れ替えてから使うなど、衛生管理の手順を保守業者と確認してください。

休日ダイヤのスケジュール設定(カレンダー設定)が、通常の土日しか想定していないこともあります。祝日や年末年始が正しく登録されているか、休館前に確認しておくと安心です。

「止めてはいけない設備」を先に決める

省エネより優先されるのが、安全と建物の保全です。たとえば、次のような設備は止める前に必ず確認が必要です。

  • 消防設備・防災設備、非常用照明、防犯設備
  • サーバー室や冷蔵・冷凍設備など、休館中も稼働が必要な機器
  • 寒冷地や冷え込む地域での、水道管や設備配管の凍結防止(凍結防止ヒーターや循環運転など)

特に凍結の恐れがある時期は、水抜きや最低限の暖房が必要になる場合があります。止める設備の可否は、設計図書や設備の取扱説明書、保守業者の指示に従って判断してください。

再開のときこそ手順を決めておく

休館明けは、一斉に全設備を立ち上げると、電力の使用量が一時的に大きくなりやすい点にも注意が必要です。空調を先に立ち上げて照明や機器を後から入れるなど、順番を決めておくと、契約電力(デマンド)への影響を抑えやすくなります。また、長く止めていた設備は、起動時に異常が出ることもあります。再開日に保守担当者がいる日程にしておくと安心です。

まず「停止・再開チェックリスト」を一枚つくる

最初の一歩として、設備ごとに「休館中:停止/継続/低負荷」と「再開時の担当者・順番」を書いた一覧表を作ってみてください。毎年同じ表を使い回し、気づいた点を書き足していくだけでも、年を重ねるごとに無駄と事故の両方が減っていきます。


想定読者:建物オーナー、施設管理者、自治体の施設担当者、設計者

注:本コラムは、建築環境工学・省エネ設計の一般的な知見に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。