太陽光発電は夏に多く、冬は少ないものです。ただ、冬の発電量が「少ない」ことと「少なすぎる」ことは別の話です。冬は日射量が減るだけでなく、太陽が低い位置を通るため、夏には問題にならなかった影の影響が表に出てきます。冬を迎える前に確認しておきたい点を整理します。

日射量が減る、でもパネルは寒さに強い

冬は日照時間が短く、太陽の高さも低いため、パネルに届く日射量は夏より少なくなります。一方、太陽電池は温度が上がると変換効率が下がる性質(温度係数)があり、低温の晴天日は効率の面では有利です。そのため、冬でも晴れた寒い日には、日射量のわりに出力が出る場合があります。「冬だから少ない」と一括りにせず、日射量との対比で見るのが基本です。

低い太陽が作る長い影

冬は太陽高度が低いため、建物の塔屋、屋上の機器、フェンス、隣接建物、樹木などの影が長く伸びます。太陽電池モジュールは、一部に影がかかるだけで出力が大きく下がることがあります。夏の点検では気づかなかった影が、冬の朝夕に出力を押し下げている例もあります。

確認の目安は次のとおりです。

  • 冬の午前・午後に、パネル面へ影がかかる時間帯と位置を実際に見る
  • 影がかかる場合、その部分がどの系統(ストリング)につながっているか図面で確認する
  • 屋上機器の追加やレイアウト変更で影が増えていないか、設置後の経緯を振り返る

積雪と汚れ

積雪地域では、雪がパネルを覆うと発電が止まります。傾斜があれば自然に落ちることも多いものの、軒先に雪がたまると下端の列だけ長く覆われ、全体の出力に響くことがあります。雪下ろしや除雪のためにパネル上へ立ち入るのは、転落や感電の危険があります。屋根上での作業は無理をせず、専門の業者に相談するのが安全です。

発電量の見方を「去年の同じ月」にそろえる

冬の発電量を評価するときは、夏と比べず、前年の同じ月と日射量の条件をそろえて比べます。発電量がいつもより低いときは、パワーコンディショナ(直流を交流に変える機器)の停止表示やエラー履歴も合わせて確認します。月ごとの発電量と日射量を記録しておくと、冬の落ち込みが季節要因か不具合かを切り分けやすくなります。

まとめ

冬の発電量は少なくて当然ですが、影や積雪による落ち込みは、配置や運用で減らせる余地があります。『ZEB』やNearly ZEBでは創エネ量が評価に関わるため、設計時の想定と実際の冬の発電を見比べておくと、運用の改善点が見えてきます。


想定読者:太陽光発電設備を持つ建物オーナー、施設管理担当者、自治体担当者、設計者

注:本コラムは、建築環境工学・省エネ設計の一般的な知見に基づく概説です。個別の建物への適用は、設計者や専門家にご相談ください。