報告書や提案書の下書き、要約、設計条件の整理に生成AIを使う場面が増えています。2026年7月29日には、国土交通省が直轄の建設コンサルタント業務等について、生成AIを使った箇所の明示などを特記仕様書に盛り込む記載例を各地方整備局等に示しました。この通知を手がかりに、文書づくりで生成AIを使うときの出典の示し方と、誤りの見つけ方を整理します。

通知が求めた「明示」と「計画書」

通知(建設コンサルタント業務等における生成AI利活用等について)は、生成AIを用いて成果をとりまとめる業務で、受注者に「生成AI利活用計画書」を提出させ、利用範囲を受発注者の協議で定めるとしています。計画書のひな形には、利用するサービス、入力情報の取扱い、生成結果のレビュー体制などの記載欄があります。

特記仕様書の記載例では、生成AIが成果内容の作成に「実質的に寄与した箇所」は、その旨を成果物に明示するとしています。あわせて、見出し体系の明確化や図表へのキャプション付与など、機械が読み取りやすい(機械可読性の高い)成果物の作成も求めています。

なお対象は測量、土木関係の建設コンサルタント業務、地質調査業務等で、官庁営繕関係は除かれています。建築の設計・営繕業務に直接適用されるものではありませんが、文書づくりの考え方として参考になります。

出典は「AIの回答」ではなく原典で示す

生成AIは、もっともらしいが事実と異なる内容を出力することがあります(ハルシネーションと呼ばれます)。条文番号、基準の数値、公表日などは特に注意が必要です。

報告書に書く根拠は、AIの回答そのものではなく、法令・告示・基準書・公的資料などの原典で確認し、その資料名・ページ・URLを示すのが基本です。AIが示した出典も、実在するか、該当箇所に本当にその記述があるかを開いて確かめます。確認できなかった事項は、推測で埋めずに「不明」「要確認」と書いて残す方が、後工程での誤りを防げます。

誤りを見つけるための照査の入れ方

照査では、AIが関わった箇所を区別できることが前提になります。下書きの段階から「AI生成」「人が原典で確認済み」を記録しておくと、照査者が重点的に見る範囲を絞れます。

見るべき点は、数値・単位・日付が原典と一致しているか、施行済みか予定かの書き分けが正しいか、別の案件や古い版の内容が混ざっていないか、要約で条件や例外が落ちていないか、などです。とくに要約は、元の文章にあった「ただし」「除く」が抜けやすいため、原文と突き合わせて確認します。

発注者・設計者が今から確かめたいこと

発注者側は、仕様書や協議で、生成AIの利用範囲、使った箇所の示し方、入力してよい情報の範囲を決めておくと、成果物の確認がしやすくなります。設計者側は、使うサービスが入力内容を学習に使うかどうかを提供者の規約などで確認し、報告書の中でAIが関与した箇所と原典確認の結果を説明できるようにしておくことが、発注者への説明責任を果たす近道です。


想定読者:建物オーナー、自治体の営繕・施設担当者、設計者、建設コンサルタント

注:本コラムは公開されている法令・通知・ガイドライン等に基づく概説です。個別の業務やシステムへの適用は、契約条件・仕様書・発注者との協議によります。

当社の生成AIの使い方と、お預かりした情報の扱いは「AIの利用について」でご説明しています。

参照

  • 国土交通省 大臣官房技術調査課「建設コンサルタント業務等における生成AI利活用等について(依頼)」(国技建管第3号・国技建調第2号)令和8年7月29日(国土交通省関東地方整備局ウェブサイト掲載) https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000955100.pdf (通知日、対象業務〔測量、土木関係建設コンサルタント業務、地質調査業務等。官庁営繕関係及び港湾空港関係を除く〕、生成AI利活用計画書の提出と受発注者協議による利用範囲の決定、特記仕様書記載例のうち「生成AIが成果内容の作成に実質的に寄与した箇所」の明示、機械可読性に配慮した成果物の作成〔見出し体系、図表キャプション等〕)
  • 国土交通省「(受注者配布用)生成AI利活用計画書(ひな形)」(国土交通省関東地方整備局ウェブサイト掲載) https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000955101.pdf (記載項目:利用予定の生成AIサービス、入力情報の取扱い〔学習されないための措置の有無を含む〕、リスク対策〔生成結果レビュー体制〕等)
  • 確認日:2026年10月12日

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