補助事業について

脱炭素社会実現を加速する、ZEBへの改修や、再エネ/省エネ設備導入などの事業に対して、国が掛かった費用の一部を補助をする事業になります。
補助事業に採択された場合に、補助対象経費(補助事業で異なる)×補助率の補助金が事業完了後に支払われます。
※申請した事業に対してすべてが採択されるわけではありません。

補助事業に向いていない事業

以下のような事業は、補助事業に向いていませんので、注意してください。

  1. 脱炭素を推進しない事業
    • 補助事業の目的に沿わない事業は採択されません。
  2. イニシャルコストを重視する
    • 補助事業では、脱炭素を加速させるため、高効率設備の導入が必須です。多くの場合で、通常の安価な設備導入よりイニシャルコストが高くなります。一方で、省エネ額の増加により、投資回収年数は通常の設備導入より短くことがあります。
  3. 工事内容や工期が変わる可能性が高い
    • 補助事業は、申請時に工事内容や工期を具体的に提示します。採択後、工事内容や工期の変更はあまり柔軟には認められません。そのため、工事内容や工期が変わる可能性ありきでは、採択後、補助事業の条件に沿った施工実施に苦労することになります。

補助事業の注意点

条件、スケジュール

補助申請を決める前に補助事業の条件を把握し、応募の可否を判断することが重要です。

  1. 補助事業に応募できるか条件を確認(延床面積、民間/公共など)。
  2. 補助事業のスケジュール(応募時期、支払い時期)の確認。
  3. 補助対象経費の確認(補助率が高くても、補助対象範囲が狭い場合がある)。

補助事業の申請、事務業務

補助事業の申請、採択後の事務作業は極めて大変です。それらの業務を誰が行うか事前に決めておくことが重要です。

  1. 補助申請業務は誰が行うか。
  2. 採択後の事務作業は誰が行うか。
    • 事務作業は補助事業によって異なるが、多くの場合2人月程度かかる事が多い。
  3. 補助事業では、報告業務に必要な工事写真や書類作成を施工業者に依頼する必要があるため、前もって入札条件に含む必要がある。

省エネやCO2削減性能の管理

補助事業には、補助申請時の省エネ量やCO2削減効果の必達を条件とするものがあります。また、設備導入後の省エネ量やCO2削減効果の確認を求めるものもあります。施工時、運用時の省エネ量やCO2削減効果の評価、検証を誰がどのように行うか決めておくことが重要です。

  1. 施工時の設計変更内容を把握し、省エネ量、CO2削減量が申請した値を満たすことの評価、検証は誰が行うか。
  2. 運用時に適切に設備が運用されるよう助言し、省エネ量、CO2削減量が申請した値を満たすことを管理することはだれが行うか

補助事業支援

弊社では、以下のような補助事業の支援を行っております。ご興味がある方は、お問い合わせください。

内容詳細
補助事業の提案、可否判断様々な補助事業からお客様の条件にあった補助事業を提案します。
補助事業への申請の可否や採択可能性、申請にあたってのスケジュールなどを提案します。
補助事業申請補助事業へ申請するための資料を作成します。
補助事業に沿った発注条件の確認補助申請時に申請した条件を満たす発注条件になっているか。発注書を確認します。必要に応じて加筆します。
補助事業に沿った工事内容の確認補助事業に沿った工事内容になるように、施工者への助言を行います。また、施工者から定期的に報告をうけ、申請した条件を満たすか確認します。
補助事業の報告事務お客様に、補助事業の適切な遂行のための助言を行います。
補助事業の完了報告書を作成します。補助執行団体による完了報告書の確認後、補助金が支払われます。
設備の運用助言、成果報告業務補助事業では、事業完了後、一定期間のCO2削減効果などの報告を義務付けるものがあります。補助申請時の目標を達成できるように、設備の運用助言やCO2排出量の管理、補助執行団体への成果報告書の作成を行います。

ZEB関係補助事業(2025年度)

概算要求にあるZEB関係の補助事業を整理しています。

補助事業名補助事業/
交付税措置
管轄省庁予算新築/
既存建築物
公共/
民間
条件主な補助対象主な補助対象外補助率補助上限額事業年度備考
地域脱炭素推進交付金
脱炭素先行地域づくり事業(ZEBメニュー)
補助事業環境省令和6年度補正、令和7年度(案)新築/既存建築物公共/民間共通条件
自治体の脱炭素先行地域への採択。
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
民間の条件
新築の場合は延床面積 10,000 ㎡未満、既存建築物の場合は延床面積 2,000㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、BEMS、間接費など。建設費、撤去費、照明(別メニューで補助対象)、太陽光発電(別メニューで補助対象など。2/35億円/棟/年
延床面積 2,000 ㎡未満は3億円/棟/年
概ね5年度以内脱炭素先行地域の採択のハードルが高い。
地域脱炭素推進交付金
重点対策加速化事業(ZEBメニュー)
補助事業環境省令和6年度補正、令和7年度(案)新築/既存建築物民間共通条件
自治体の重点対策加速化事業への採択。
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
民間の条件
新築の場合は延床面積 10,000 ㎡未満、既存建築物の場合は延床面積 2,000㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、BEMSの設備工事費、間接費など。建設費、撤去費、照明(別メニューで補助対象)、太陽光発電(別メニューで補助対象など。新築
『ZEB』:1/2
Nearly ZEB:1/3
ZEB Ready、ZEB Oriented:1/4
既存建築物
『ZEB』、Nearly ZEB 、ZEB ready 、ZEB Oriented:2/3以内
5億円/棟/年
延床面積 2,000 ㎡未満は3億円/棟/年
概ね5年度以内重点対策加速化事業の採択のハードルが高い。
新築建築物のZEB普及促進支援事業補助事業環境省令和6年度補正、令和7年度(案)新築公共/民間共通条件
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
民間の条件
延床面積 10,000 ㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、太陽光発電(Nearly ZEB以上)、BEMSの設備工事費、間接費など。設計費、建設費、照明設備工事費、撤去費など。『ZEB』:1/2
Nearly ZEB:1/3
ZEB Ready、ZEB Oriented:1/4
3億円
加えてCO2削減量の補助金額に対する費用対効果が以下の数値以下
『ZEB』: 120,000 円/t-CO2
Nearly ZEB: 100,000 円/t-CO2
ZEB Ready、ZEB Oriented:50,000 円/t-CO2
3年度以内Nearly ZEB以上でないと採択されにくい。
再エネ電力利用などの加点項目を積み上げる必要がある。
既存建築物のZEB普及促進支援事業補助事業環境省令和6年度補正既存建築物公共/民間共通条件
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
民間の条件
延床面積 2,000㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、太陽光発電(Nearly ZEB以上)、BEMSの設備工事費、間接費など。設計費、建設費、照明設備工事費、撤去費など。『ZEB』、Nearly ZEB 、ZEB ready 、ZEB Oriented:2/35億円
加えてCO2削減量の補助金額に対する費用対効果が以下の数値以下
『ZEB』: 120,000 円/t-CO2
Nearly ZEB: 100,000 円/t-CO2
ZEB Ready、ZEB Oriented:50,000 円/t-CO2
3年度以内Nearly ZEB以上でないと採択されにくい。
再エネ電力利用などの加点項目を積み上げる必要がある。
既存建築物のZEB普及促進支援事業補助事業環境省令和7年度(案)既存建築物公共/民間共通条件
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
民間の条件
延床面積 2,000㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、太陽光発電(Nearly ZEB以上)、BEMSの設備工事費、間接費など。設計費、建設費、照明設備工事費、撤去費など。『ZEB』、Nearly ZEB(2000㎡以上) 、ZEB ready:2/3
Nearly ZEB(2000㎡未満):1/2
ZEB Oriented:1/2
5億円
加えてCO2削減量の補助金額に対する費用対効果が以下の数値以下
『ZEB』: 120,000 円/t-CO2
Nearly ZEB: 100,000 円/t-CO2
ZEB Ready、ZEB Oriented:50,000 円/t-CO2
3年度以内Nearly ZEB以上でないと採択されにくい。
再エネ電力利用などの加点項目を積み上げる必要がある。
LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業補助事業環境省令和7年度(案)新築公共/民間共通条件
業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得。
延床面積 2,000 ㎡未満の ZEB Ready は対象外。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
太陽光発電を導入すること。
LCCO2を計算すること。
民間の条件
延床面積 10,000 ㎡未満。
断熱、空調、全熱交換換気、DCモーター換気、エコキュート、高効率変圧器、太陽光発電、BEMSの設備工事費、間接費など。設計費、建設費、照明設備工事費、撤去費など。『ZEB』:3/5
Nearly ZEB:1/2
ZEB Ready、ZEB Oriented:1/3
5億円
加えてCO2削減量の補助金額に対する費用対効果が以下の数値以下
『ZEB』: 120,000 円/t-CO2
Nearly ZEB: 100,000 円/t-CO2
ZEB Ready、ZEB Oriented:50,000 円/t-CO2
3年度以内LCCO2を計算する必要あり。
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業補助事業環境省令和6年度補正、令和7年度(案)既存建築物公共/民間BPIが1.0以下。
改修前のBPIが1.0超の場合(又は不明な場合も含む。)
改修後のBEIがホテル等・病院等・百貨店等・飲食店等・集会所等は0.7以下、事務所等・学校等は0.6以下
改修前のBPIが1.0以下の場合は、改修後のBEIがホテル等・病院等・百貨店等・飲食店等・集会所等は0.6以下、事務所等・学校等は0.5以下。ただし、改修前にBEIが0.7又は0.6以下の場合は、補助対象外となる。
断熱窓、断熱材、高効率空調、制御機能付きLED照明器具のいずれかを導入すること。なお、改修前のBPIが1.0超の場合は、必ず「断熱窓」・「断熱材」のうち少なくともいずれか一方を導入すること。
BEMSを導入すること。
以下の指定された設備のみ。
開口部、断熱材、空調機、全熱交換器、照明、BEMSの設備工事費
定額補助
開口部:最大50,000円/㎡
断熱材:最大3,700円/㎡
定率補助
空調機、制御機能付きLED、業務用給湯器、BEMS:1/3
10億円3年度以内全熱交換換気などは対象外。
補助金は定額であるため、空調システムを変更する場合などは、定率補助より少ない金額になる。
サステナブル建築物等先導事業(省CO2型)補助事業国土交通省令和7年度(案)新築/既存建築物公共/民間ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得する。
材料、設備、設計、運用システム等において、CO2の削減、健康、災害時の継続性、少子化対策等に寄与する先導的な技術が導入されるものである。
CASBEEを取得する。
ZEB水準の省エネルギー性能を実現するための取組、その他の先導的な取組を実現するために必要となる部分。建設費、家電、LED照明、ペアガラス、変圧器、太陽光発電などの設備工事費。1/23億円複数年度可能「先進性」と「普及・波及性」を兼ね備えた先導的なプロジェクトである必要。
既存建築物省エネ化推進事業補助事業国土交通省令和7年度(案)既存建築物公共/民間高機能換気設備を設置する。
改修前と比較して20%以上の省エネ効果が見込まれること。ただし、外皮改修面積割合が20%を超える場合は15%以上。
BELSを取得すること。
改修後に耐震性を有すること。
断熱、空調、換気、給湯、照明などの設備工事費。建設費、家電、変圧器、太陽光発電などの設備工事費。1/35,000万円単年度単年度の事業なので大規模な事業ができない。
都市構造再編集中支援事業補助事業国土交通省令和7年度(案)新築/既存建築物公共/民間立地適正化計画に基づき、地方公共団体や民間事業者等が行う都市機能や居住環境の向上に資する公共公益施設の誘導・整備・防災力強化、災害からの復興、居住の誘導の取組等に対し集中的な支援を行い、各都市が持続可能で強靱な都市構造へ再編を図ることを目的とする事業。
都市再生整備計画に基づき実施され、立地適正化計画の目標に適合する公共公益施設の整備等に対してパッケージにより支援。
設計費、土地整備費、用地取得費、共同施設整備費、専有部整備費、負担増分用地費、賃貸費など。1/2(都市機能誘導区域内等)
45%(居住誘導区域内等)
誘導施設(医療、社会福祉、教育文化施設等)、高次都市施設(地域交流センター、観光交流センター等)を整備する場合、交付対象事業費の上限額を21億円
ZEB Readyの省エネ性能の水準に適合する建築物を整備する場合、交付対象事業費の上限額を21億円→30億円に嵩上げ
立地適正化計画、都市再生整備計画の公表が必要。
ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業補助事業経済産業省令和7年度(案)新築/既存建築物民間業務用建物(工場、倉庫は対象外)。
ZEB評価(ZEB Oriented以上)を取得する。
新築の場合は延床面積 10,000 ㎡以上、既存建築物の場合は延床面積 2,000㎡以上。
BPIが1.0以下。
標準入力法でBEI計算すること。
BEMSを導入すること。
ZEBの掛かりまし費用の算出。
設計費(一部)、断熱、空調、全熱交換換気、インバーター換気、エコキュート、基礎工事、場内搬入・据付工事、制御配線、制御配線用配管、試運転調整費など。建設費、家電、ダクト工事、配管工事、動力配線工事、太陽光発電、撤去費、間接費など。2/35億円(単年)
10億円(複数年)
3年度以内ダクト工事、配管工事、動力配線工事、間接費が補助対象外であるため、補助金額は少ない。
防災・省エネまちづくり緊急促進事業補助事業国土交通省令和7年度(案)新築/既存建築物公共以下の基礎となる事業の採択を受けて、地方公 共団体・国の補助により 整備される建築物である ことが条件。
市街地再開発事業、優良建築物等整備事業、地域優良賃貸住宅整備事業、住宅市街地総合整備事業、防災街区整備事業 都市再生整備計画事業、地域住宅計画に基づく事業※ 認定集約都市開発事業
要件の充足数に応じて補助率が変わる。
必須条件:高齢者等配慮対策、子育て対策、防災対策、省エネ対策、環境対策
選択要件:防災対策、省エネ対策(ZEB Readyへの適合)、環境対策等
必須要件のみ:3%
必須要件 + 選択要件の2項目:5%
必須要件 + 選択要件の3項目:7%
令和14年3月31日までに完了
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
設備単位型
補助事業経済産業省令和6年度補正、令和7年度(案)既存建築物公共/民間省エネ化が図れること。
年間エネルギー使用量が原油換算1500KL以上の事業者は省エネ法に基づく定期報告情報の開示制度に参加宣言する。
補助事業で指定された高効率空調 (業務・産業用エアコン等) 、産業ヒートポンプ 、 業務用給湯器、高性能ボイラ、高効率コージェネレーション、低炭素工業炉、変圧器、冷凍冷蔵設備、 産業用モーター、制御機能付きLED照明器具、工作機械、プラスチック加工機械、プレス機械、印刷機械、ダイカストマシンの設備費のみ2/31億円2年度以内設備費のみが対象となる。
公立学校施設の整備補助事業文部科学省令和6年度補正、令和7年度(案)新築/既存建築物公共新増築、改築、改修等を通じた学校施設のZEB化の推進新増築: 1/2
改築、改修等: 1/3
新増築: なし
改築、改修等: 7000万円
学校関係で活用できる補助事業
脱炭素化推進事業交付税措置 単独事業総務省令和7年度(案)新築/既存建築物公共地球温暖化対策推進法に規定する地方公共団体実行計画に基づいて行う公共施設等の脱炭素化のための事業。
ZEBの場合は交付税措置率が高い。
充当率:90%
交付税措置:50%(ZEBの場合)
BEI1.0以下にする事業も対象(交付税措置率が異なる。)
過疎対策事業交付税措置 単独・補助事業総務省令和7年度(案)新築/既存建築物公共過疎地域の市町村計画で位置づけられている設備。
再エネ設備の整備及び公共施設等のZEB化を「脱炭素化推進特別分」と位置付け、他の事業に優先。
充当率:100%
交付税措置:80%
過疎地域では有利な事業